城の用語説明
集中(Concentric)様式
一つ以上の塔(Tower)を持ち、守りが一つ以上の線上にある城を言う。語義的には、同心円的な建造を言うが、外側の城壁とその内側にある城壁の間が狭く、二重構造になっている形式を呼ぶ。
ヘンリー3世までに建設された城はそれが集中様式のように見えても、後日改良された場合が多い。ロンドン塔は現在では、完全な集中様式の城となっている。
従来、集中様式はエドワード1世が十字軍に従軍して、東方(Syria)から伝えたものとされてきた。これは偉大な王に関連づけられたからであり、エドワード1世が伝えたのではなく採用した、とするのが正しい。カーフィリー(Caerphilly)城や、 北ウェールズの世界遺産の四つの城のうちの、ハーレック(Harlech)城、ボーモリス(Beaumaris)城が典型的である。
城の城壁には側塔(Flanking-Tower)が組み込まれているので、1ヶ所が攻撃された場合に、攻撃場所がどこかすぐに判明する。兵士は短時間で移動し、集中して防御できる体制を取ることができた。仮に外側の城壁が破られても、内側の城壁との間に狭い外庭(Ward)が控え、敵が一斉になだれ込むことができなくなっている。敵は内側の城壁上からの攻撃に身をさらすことになる。また外庭には攻撃用の機材を持ちこむ場所もない。
外側の城壁は低く、内側の城壁が高いので、2階から外側を攻撃するような態勢をとることができた。なお、内側の城壁内の内庭は広く、多くの兵士を駐屯させられるばかりでなく、農民を避難させ家畜を飼うこともできた。