Beaumaris城
1282年に、スリウェリン・アプ・グリュフィド（Llywelyn ap Gruffudd）がバイス（Buith）近辺で戦死し、1283年にはダビッド（Dafyd）がシュルツベリー（Shrewsbury）で処刑されて、二人の兄弟が居なくなったことで、ウェールズ（Wales）には王（Prince）と呼ばれる者がいなくなった。従って、ボーモリス城はウェールズの王からは攻撃されていない。
エドワード1世はイングランドと同様の行政区間を設置し、カーナーフォン（Caernarfon）にはカーナーフォン（Caernarfon）城をかまえ、メリオネス（Merioneth） にはハーレック（Harlech）城をかまえた。その他、既存の城として、例えばクリキエス（Criccieth）城やアベリストウィス（Aberystwyth）城を改修することで、ウェールズ内にイングランドの統治領土を拡大して行った。アングルシー（Anglesey）島を統治するために新たな城が必要になった。
スランフェス（Llanfaes）の町は、1237年当時、フランシスコ会（Franciscan friars）の教会があり、島の中心地として人口も有る港町だった。このスランフェスの町から1マイル離れたところに新たな町と城を造り、住民を移住させた。
エドワード1世が建設した最後の城で、1295年4月に建設を開始。セントジョージのジェイムズ（Master James St George）の設計に因り築城された。
建設に関する資料が残されているが、それによると、最初の年の夏の期間中に、450人の石工に￡1,000、350人の石切人に￡636の賃金が支払われた。その他、30人の鍛冶屋と多くの土木作業人や大工など、平均1,800人の労働者が従事していた。
1週間の建設費が、￡250かかったと言われた。一方で、翌年1296年の5月から9月までの費用は￡2,132に激減しており、前年の三分の一に過ぎなかった。エドワード1世はウェールズを制圧した後にスコットランドの政情に介入しており、ウェールズへの関心が薄らいできていたためと資金不足によるとされている。1300年には￡100の割り当てしかなかったと記録されている。
1306年に建設を再開し、北側の城壁を完成させることで、集中形式（Concenric）の城として完成させた。12の塔と2箇所の小ゲイトハウス（Gatehouse）が20年後に付け加えられた。
城門（Barbican）がゲイトハウスの前に門と離れた箇所に建設された。ハーレック城のような海岸から聳え立つ岸壁の上でもなく、カーナーフォン城やコンウィー城の様に海岸の岩場の上でもなく、海岸と同じレベルに建設され、天を突く高さも無く、城は近くに行かないと見えない高さである。
城壁の高さは11m（36feet）で壁厚は4.7m（15.5feet）。1330年には実質的な建設は終了した。
1538年の調査では既に崩壊が始まっていた。1646年内乱（Civil-War）の際、王側に立って籠城していたが、カーナーフォン城落城の知らせで降伏した。
1987年世界遺産（World Heritage）に登録された。
石灰岩、砂岩、変性片岩、で建設されているが、これらの石は10マイル以内にあり、船で運ばれた。
城はシンメトリーなきれいな図形を示す。ゲイトハウスが北と南の両方にあり、門も2か所あり、天守が無く、2重の城壁で囲まれた、典型的な集中(Concentric)様式の城である。
城から宮殿（Palace）に移行する途中の建設物とみなすことができる。旧来の城では、城壁の中に建屋を設置していたが、ボーモリス城ではゲイトハウスそのものが屋敷となっている。
外庭（Outer-Ward）は、ハーレック城より広い。教会（Chapel Tower）は、外側からも窓の造りで予測できる。なお、ゲイトハウスの窓の造りがハーレック城とよく似ている。これには手本があり、スイスのシオン（Chillon）城と言われている。
城の建設は模倣されるものだが、当時のファッションに習ったとも言える。構造の一部が似ている原因がはっきり分かっている場合は別にしても、城を突き詰めていくと、時代により形状は似てくるのではないだろうか。
