Canterbury 城

　3世紀にローマ人により町が築かれ、街は周囲2マイルの壁で囲われた。1370年代にフランスからの侵略が懸念され、壁が修復されたために、ローマ時代の壁の遺跡はほとんど見られなくなった。

　現在では、改修された壁は北門から西北に位置する城まで、半分程が残されている。11箇所に大砲を設置した跡が判る稜堡があるが、そのうち4箇所は方形で、1400年頃の建設の記録が残る。それ以外の稜堡は伝統的なU字型の後ろが開いている形態のものである。

　城はノルマン征服王朝により建設され、1086年の土地台帳(Domesday Book)作成時までに、矩形の天守が建設されたと推測される。

　片蓋柱（Pilaster)や台座にノルマン様式がみられるが、ノルマンジーのカン（Caen)から運び城の表面を飾った切り石（Ashler)は剥がれている。北西には前室があり、2階が入口で、中央壁により3個の部屋に分かれていたことが発掘で明らかになった。

　天守（Keep)部分は早い時から居住部分としてではなく、牢獄として使われていた。1381年の農民 (Wat Tyler）の騒乱時には捕囚を開放し、代わりに城代を閉じ込めている。

　7箇所あった門のうち現存する西門は、ロンドンからのワトリング（Watling)街道上に位置し、カンタベリー大司教のシモン（Simon of Sudbury)により建設された。この門はヘンリー・イーヴェル（Henry Yevel）石工頭による設計で、カンタベリー大聖堂も同人物が建設した。

　最上階には刎ね出し狭間（Machicolation)が付き、円柱形の柱の中には砲台があった。落とし格子戸（Portcullis)の跡も見られる。