Compton 城

以下の写真は、Wikimedia Commons　「http://commons.wikimedia.org/wiki/File:14AUG2008_COMPTON_CASTLE%26_COLETON_006.jpg」から転載。

　14世紀初頭からギルバート（Gilbert)家の城。ギルバート家は大航海時代の探検家として名を馳せ、1583年にハンフリー・ギルバート（Humphrey Gilbert)はニューファンドランド（Newfoundland)諸島を発見している。

　15世紀末にはオットー・ギルバート（Otto Gilbert)が北に教会を建設し、この地方の典型的な豪族の屋敷となっていた。息子のジョン（John)は屋敷を大幅に拡張強化し、既に広間を中心にしてその対角線上に方形の塔が建っていたが、南に台所とそれに接続する方形の塔を追加したことにより、合計5本の塔が建つ屋敷となった。

　更に城壁の南西の角に塔を建設している。北面の入口には落とし格子戸（Portcullis)が設定されていた。周囲の城壁の外に掘りの跡は見られないが、堀があったと推測されることから、城壁と塔との間が外庭（Outer ward)の形態となり、エドワード１世の時代の集中（Concentric)様式の城の様相を呈していたと推定される。

　このような強化策の背景には、16世紀に入りフランス海賊の襲来が激しくなって、コンプトン城もその目標にされていたことが挙げられる。

　この城はタワーハウス（Towerhouse)の集合体の様に見られるが、広間の南北に中庭を設定することで防御し、両脇に礼拝堂と部屋が並び建ち、その先端に塔が建つというH字型の設計になっていると見るべきである。