Dover 城

　ドーヴァー海峡を見下ろす、白い岸壁の上には鉄器時代から建物があったと言われている。ドーヴァーには集合して住む家の周囲を木造の柵で囲っただけのサクソン（Saxon）族の村があった。もしこのような村が無かったら、ウィリアム征服王（William I）はドーヴァーに上陸したであろうと言われる。

　上陸の妨げとなる条件をすべて排除して、ウィリアム王はイングランドに上陸し、ヘイスティングス（Hastings）の戦いで勝利した後、王は最初にここに来た。

　その後義弟のバイユーのオド（Odo of Bayeux）にドーヴァーの守りを任せた。

　13世紀の歴史家でセント・オールバンズ（St. Albans）の修道僧のマッシュー・パリス（Matthew Paris）はドーヴァーをイングランドの鍵（Key of England）と言っている。

　大陸に一番近く、戦略的にも重要な地点であった、ドーヴァー城の城代としてヘンリー5世、ヘンリー8世、ジェイムズ2世、ジョージ5世など多くの王族が就任している。また民間人としては、ウィリアム・ピット（William Pit）、ウェリントン（Wellington）パーマストン（Palmaston）、チャーチル（Churchill）などの著名人が名を連ねている。

　ヘンリー2世が1168年から1188年にかけて￡6,300を費やして城を拡張し、中央に矩形の城を築いた。その後も歴代の王が多額の王費をかけ強化を続けた。ジョン王は￡1,000を掛け、ヘンリー3世は1220年代に￡7,500を使いペヴェレルズ塔（Peverel’s Tower）から海岸まで城壁を伸ばした。

　ナポレオン戦争の時には、ナポレオンのイングランド上陸を阻止するために、大規模な軍事強化策が取られた。更に、第2次大戦時には、地下壕が造られ、司令部や病院が備えられた。

　現在、その地下都市とも言える塹壕の中を見て回ることができる。

　全体で、35エーカーの広さを誇る。外周の壁（Curtain Wall）はヘンリー2世が1168年から74年にかけて、矩形の天守より先に建設。ジョン王時代の1216年にフランス軍が上陸し、城を攻撃したが、その際にジョン王の門（King John’s Gate）が掘り壊された。

　その後、ヘンリー3世が北面を強化し、現在はノーフォーク塔（Norfolk Tower）と呼ばれている塔を建設した。

城代の塔（Constable’s Tower）は巨大で、4個の半円柱が四角の塔に隣接する変わった形をしており、現在でも城への入口を固めている。

　ゴッツフォー塔（Godsfoe Tower）は15世紀の改築。聖ジョン塔（St John Tower）は北側の城壁の外にあり、地下道で城と結合されている。これはナポレオン戦争の時に追加建設された。

　城壁（Curtain Wall）には4箇所に側壁塔（Flanking Tower）があり、背面が開いた凸型で、大きさや形態に統一性が無い。この内2塔が城門を構成している。このゲイトハウス（Gatehouse）には王の門（Kings Gate）と宮殿門（Palace Gate）の名称がつけられ、イングランドでは一番早く建設されたゲイトハウスであった。

　天守（Keep）は横100Feet、高さ100Feet。ロンドン塔のホワイト塔の影響が見られる。ホワイト塔に比較して前室を追加している所に進歩がみられる。ホワイト塔より壁厚が増したのは、防衛を強化した点も挙げられるが、結果として部屋をその間に造ることができた。

　聖メアリー（St Mary in Castro）教会の現在の建屋はヴィクトリア（Victoria）女王時代のものだが、サクソン時代の1000年頃にもその基礎はあった。ローマ時代の灯台（Pharos）が教会の隣に残っている。80Feetの高さがあり、ここから晴れた日には、フランスの海岸が見える。ド－ヴァー海峡は35キロである。

　なお1642年の内乱時代（Civil-War）にはクロムウェル側だったので城は破壊されなかった。

Dover 城近くの町：

　　北に20kmのサンドウィッチ (Sandwich) 情報