Pickering 城

　ノルマン時代のモットアンドベイリー(Motte and Bailey) 様式の典型的な城。内庭と外庭の中央にモットが築かれ、モットの裾には濠が巡らされていた。その全体を城壁が囲む。

　王家の狩猟用の館として使用されていたが、ヘンリー2世の時代に内庭を囲む城壁への出費が記録されている。

　ジョン王の時代には王に反対する貴族連合により、城は破壊されたが、続くヘンリー3世によりモットに貝型の城（Shell Keep)が修復された。城は一帯の広大な領地ともどもヘンリー3世の息子のエドマンド（Edmund)に譲渡され、ランカスター（Lancaster)伯領の経済基盤となった。

　エドワード2世時代にはスコットランドからの侵略防衛のため、外庭の城壁が石で再構築された。三箇所の塔はミル塔（Mill Tower)、ダイアテ塔（Diate Hill Tower)、ロザマンド塔（Rosamund’s Tower)と呼ばれ、円形ではなく北方で良く見られる方形の塔であった。

　ヘンリー・ボーリングブローク（Henry Bolingbroke)が国外追放から帰国した際に、イングランド上陸後初めに入城したのがこのピカリング城で、この城からリチャード2世への挑戦が始まった。ヘンリー4世となった後、城は使用されなくなり、廃墟となった。

Pickering 城近くの町：

　　西に約20kmのヘルムズレイ(Helmsley) 情報

　　南西に約50kmのヨーク(York) 情報